She is OK.

9月1日は、関東大震災が発生した日。
だから、9月1日は防災の日。

今年は関東大震災からちょうど90年。
今までだったら
あぁそういえば学校で避難訓練したなぁとか思い出して
面倒だったなぁとか思ってたんだけど。
でもこうして防災の日を作って
年に一回、多いところは数回
避難訓練をすることって大事だなぁって
今は心の底から思う。

そう思うと同時に、ここ2年は
ある言葉を思い出す。

She is OK.

東日本大震災が起こった時
姉がある記事に書いた文章の一文。
3単語の短い一文だけど、私にとっては重い一文。

当時イギリスで働いていた姉は
職場に出勤した時にニュースを聞いた。
「日本で大きな地震があった。東京が震源地らしい。」
一番最初に聞いた情報は東京が震源地だという内容だったようで
首都圏出身の姉を心配した上司が
「今日はもう仕事はいいから、家族と連絡を取りなさい。」
そう言ってくれたみたい。
大慌てで家族にメールをしたけれど、
その頃は携帯電話が使えなくなっていたから
誰とも連絡が取れなくて。

そのうち
「どうやら震源地は東京ではなく福島らしい。」
という情報が入ってきて。
・・・妹じゃん!と慌てた姉は
妹(私ね)に連絡をしたのだけれど、やっぱり繋がらない。

(その頃私は、数分おきに起こる余震に一人で闘ったり
大家さんのところで唯一の食材バナナを食べてました。)

結局一番最初に連絡が取れたのは、兄で。
兄が東京や福島、家族の様子を姉に伝えてくれていたらしい。

(その頃私は、大家さんと避難しながらちらちら降る雪を見ていました。)

そんな感じで、ようやく家族と連絡が取れて
無事なことは確認出来たのだけれど。
でも母国の日本は、本当にすごいことになっていて。
すぐに駆けつけられない自分に
何も出来ない自分に
苛立ちを覚えたりしながら
それでも、一呼吸して自分を落ち着かせて。
彼女の専門が国際協力なので
現地にいる日本人と募金活動をしたり
職場でも長期的な支援活動をしたり
「母国のために自分が出来ること」をしていた。

そんな彼女が数週間経った頃
職場のHPに震災について一枚の記事を書いた。
私は英語が全然分からないから
全文英語の記事を読むのには時間がかかったのだけれど
辞書を引きながら頑張って読んだ。
訳してってお願いするのは、なんだか違う気がして。

そこには、
9月1日の関東大震災の導入で始まり
福島で被災した私のことが書いてあった。
結婚したばかりで福島に住んでいたこと
震災時に何度もメールをしても返ってこなかったこと
二日以上経ってやっと連絡が付いたこと
その後に、一言こう書いてあった。

She is OK.
彼女は無事だった。

たった一言、ぽつんと発したような言葉で。
でもその一言には、傍に居られなくて状況が分からず
不安だった姉の、ほっとした心が表れている気がして。

その後は
家が倒壊して、帰れなくなった同僚。
原発から3キロのところに住んでいた友達の弟夫婦。
避難区域に住んでいた私の友達。
食糧や水を確保する被災地の状況。
そういった内容を中心に
職場での復興支援の話へと繋がっていた。

そのHPにはその記事を見た人のコメントも載っていて。
キミの妹が無事でよかったとか
妹さんの結婚おめでとうとか
日本の皆が早く復興することを祈ってるとか
温かい言葉がいっぱいだった。
有り難いね。

She is OK.という言葉を思い出す度に
今の私が持っているものは、全部
一人で得たものではなくて
家族や友達や同僚や
周りにいるたくさんの人のおかげで手に入れたのだと実感する。

あの時の姉の言葉は
たった一言だけれど、私にとっては大切な一言。

by Elly

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コメント

  1. まゆりんこ より:

    とてもイイお話ですね。
    she is OK.
    とても簡単だけど、とても重い意味のあるフレーズですね。
    出勤前にこの記事を読み、
    気持ち良く一日のスタートを切ることが出来ました( ´艸`)

    • Elly より:

      まゆりんこさん
      ありがとうございます。
      間違った情報ばかりが入ってくる海の向こう側に一人でいるのは、不安で仕方なかったと思います。
      だからこそ、家族の愛が込められているとっても重くて、でも嬉しかった一言でした。
      出勤前にblogを見てくれたなんて…ありがとうございます♪